5軸プリンター Vol2

5軸普及の立役者「工具先端点制御」

前回紹介した動画すごいですよね~、グリグリ動いて・・・
機械を制御するためのプログラムは、どうやって作っているのでしょう?
かなり、難しいそうです
一番重要なのは、回転(傾斜)軸の中心の位置(座標)です
まず5軸に限らず、3軸でも、たぶん3Dプリンターでも・・
工作機械の制御機は、基本的に機械固有の原点位置(機械原点)を
把握しています
加工物の段取りでは、機械原点と加工物原点(プログラム原点)の
位置関係を設定します
たとえば工具を加工原点に持っていって、設定ボタンを押したりすると思います
制御機は、この機械原点と加工物原点(プログラム原点)の位置関係を考慮し
プログラムの指令点を機械原点からの位置に算出して工具を移動させ
加工していきます
ここで、軸を傾斜させた場合は加工物も傾斜してしまうので、切削点は変わってしまいます
傾斜指令を追加しただけでは、思ったように加工できません。
傾斜終了後の切削ポイントへ同時に工具を移動させなければいけません。
難しそうですが機械原点からの回転(傾斜)軸中心の座標が分かれば、
加工物が傾いても切削点を算出できますから、正常な位置指令ができます
昔は、一旦機械に加工物をセッティングしたのち、加工物中心と傾斜軸中心の距離を測定しその測定値を基に、モデル自体を傾斜させ、NCプログラムを出力していました
ようは、実際の機械と加工物の状態をCAD上でも再現していました。
かなり、面倒な作業ですね~
ところが、制御機が進化しました
この傾斜軸の中心軸座標を、制御機に設定しておくことで、プログラムの指令点を
制御機が自動的に変更してくれるようになりました
これが、工具先端点制御機能です
分かりやすい事例として、むか~し撮った動画がありましたの紹介します。

 

これは、通常動作中にでも、手動割り込みが可能になるハイデンハインの機能です
途中で傾斜軸が動き出しますが、これは「手パ」(手動パルスハンドル)で操作しています
このように、「手パ」で操作しても、工具は追従していきます
すごい機能です、重複しますが機械が自動運転している最中に、
ただ傾斜軸をハンドルで動かしているだけです
工具は勝手に、加工物に吸い付くように追従してくれます。
当時この手動割り込み機能は、ファナックにはありませんでした。

(余談ですが、英語では、[Tool Center Point Control]工具中心点制御です。)
(私はこのほうが、しっくりきますが、なぜ先端点なのか??です)
この機能のお陰で、CAMソフト開発側も含めて、5軸のNCプログラム作成が、
非常に楽になり動画のような、グリグリ動かすプログラムも
比較的簡単になりました

5軸、3Dプリンター

さて、5軸工作機械の話が長くなってしまいました、
3Dプリンターの話題に戻りたいと思います
そういえば、5軸3D・・っておかしい感じがしますね。
5Dプリンターのほうが、しっくりくるかな?
5軸加工機のように、いろんな方向から、プリントできれば、
アンダー部やサポート材など考えなくてすみます。
さらに、等高線に積み上げていく現状では、平坦な形状ではどうしても
積層の幅が広くなりプリント面がガタガタになってしまいます
そういった欠点が解消されると思います
もちろん、プリンタヘッドが形状に干渉してしまう事も考えられますが
それは、5軸加工機でも同様です
5軸機では干渉しないような、微少工具や長い工具を使用します
場合によっては、干渉しないように、モデルにフィレットを施す事もあります
プリンタヘッドもいろいろな形状が用意できれば解決できると思います
さらに、現状ある製品に、追加のプリントも可能になりますね
金属に樹脂を追加する事もできるでしょうし、追加プリントの組合せで
組み立てまで自動化できるかもしれません

なんか、いい事ばっかりですよん!
きっと何処かで開発しているはずですよね~

5Dプリンター

このキーワードで検索してみると、おっ!出来てた!
でも、キムタクのTVドラマの「安堂ロイド」に出てきた話らしい
私はこのTV見ていないので、よく分かりませんが、5軸と言うよりも
五次元の意味の、5Dのようですね
ただ、そう言う意味での4Dプリンターは、米軍が研究しているとの記事もありました
そうか「3Dプリンター」の3Dは三次元の意味だったんですかね?
私はてっきり、3軸の機械だから、3Dだと思っていました
そっか、3DCADは、三次元CADか・・・

検索を進めると!あっ、見つけた!

そうそう、こんなイメージです

さらに、検索してみると・・・
中小企業庁のものづくり支援で、研究報告が公開されていました。

中小企業庁:研究開発成果等報告書

ここの上から6項目目
「同時5軸制御Additive Manufacturing(加法的製造)によるLight Weight Structure(計量構造)の実現」
に、資料が公開されていました。

さらにさらに、調べると
もうすでに、製品として、紹介されていました

3Dプリンター

お~、国産だし、これはすごいですね~
何処かの展示会に出展されないでしょうか?見てみたいです
開発メンバーのC&Gコイズミ氏とは、顔見知りではあるので、
なにかの機会に聞いてみたいと思います
で探していたら、やっぱり出展されてたみたいです。
http://www.oi-s.com/business/enomoto20170214.html

それにしても、調べると結構動画が出てきます。
実用化には、まだまだな感じですが、5軸加工機がそうだったように
これからが楽しみですね。
動画をみると、ほとんどが同時5軸で動作しています
そうなるとやはり、ソフト・ハード共にコストは上がってきますね。
サポート材の実験でも、多少のアンダー部は大丈夫だったので
割り出し5軸(回転した後、固定で3軸動作)でもいけるようにも思いますが
エンドミルは刃があれば、形状全体で加工できますが、3Dプリンターは
ノズルからの一箇所なので、同時5軸になってしまうのでしょうか?

5軸プリンター

5軸

3Dプリンターで、サポート材やプリント方向などで、いろいろ検討していると
5軸のプリンターってないのかな?と思ってきました
5軸って、3Dプリンタの業界では、まだ馴染みは少ないでしょうか?

ところで、5軸って・・・?

工作機械では、最近国内でもかなりメジャーになってきましたが
3Dプリンター系のサイトでは、あまり見かけませんね
という事で少し5軸加工機について書いてみようと思います・・
一般的な3Dプリンターを眺めると分かると思いますが、直交している動作軸が3本あります。
3本なので、3軸(X軸、Y軸、Z軸)です
この3軸に、2個の回転(傾斜)軸を負荷した構造が5軸となります
ちなみに、工具の回転軸は含めません

5軸加工機・マシニングセンター

私は、2006年頃から数年間、5軸加工機を触っていた経験があります
当時はまだ、国内製はそれほど多く生産されていなかった時期です
特に、5軸機専用として開発されたマシンは、非常に少なかったです
ほとんどが、3軸機のテーブルの上に、回転と傾斜が可能な機器を載せて
5軸機械と呼んでいました
この時期、社内の新規設備の検討をしていたので、
少し話題になって来た事もあり、導入は全く考えていませんでしたが
情報収集目的でドイツの展示会に行きました

いや~、驚きました。
展示されているNC工作機械で、ヨーロッパ製の7、8割は5軸加工機でした
さらに、5軸はすでに珍しくなく、ロボットや自動ワークチェンジャーを付加して
自動無人化を目指したシステムが多く展示されていました
5軸加工機のメリットとして、いろいろな方向から加工できるというメリットがあります
ブロック材など一面を挟んでクランプすると、残りの5面は一気に加工できてしまいます

非常に、自動化がやりやすい機械です
人件費が高く勤務時間が短いドイツでは自動化は必須の戦略だったのではないでしょうか?。
インダストリー4.0も、そんな背景から必然的に生まれた発想のようにも思えます。
そんな展示会を視察して、日本でも5軸化は必ずやってくると思いました
すぐに会社へ提案して導入してもらい、5軸へ取り組んだのがこの時期です
ところが、まもなく、リーマンショックがやってきました
これには、参った!
国内の展示会でも、徐々に5軸加工機は増えてきていましたし
ボーイング787や、三菱重工のMRJなど航空の部品加工でかなり需要は増えるといわれていました
ところが、航空機の開発は遅れるは、リーマンやらで、加工の仕事は伸びてきません。
そんな状況で、操作やデータ作成が難しく高価な5軸機は、手を出しにくい機械となりました
現在は工作機械業界さんは、非常に忙しい状況のようですが、
5軸加工機や自動無人化に関してはこの時期の遅れもあり、まだまだEUとは差がついています

5軸の構造

上でもちょっと書きましたが、X,Y、Z軸の3軸に、2軸を加えたものです
3軸は、直交軸ですが、2軸は通常回転・傾斜軸となります
X軸を中心とした回転は、A軸。
Y軸を中心とした回転は、B軸。
Z軸を中心とした回転は、C軸と定義されます。
そのどれか2軸を追加した構造で5軸となります
傾斜軸の構造も、いろいろあって、ヘッド(スピンドル)に2軸追加された、
「ヘッドヘッド型」
ヘッドに1軸、テーブルに1軸追加された、
「ヘッドテーブル型」などがあります

有名なダイシンさんのヘルメット・・・

ヘッドがチルトするマシンで加工されています。

テーブルに2軸追加された、「テーブルテーブル型」
「トラニオンタイプ」とも呼ばれています

高剛性と精度が売りのドイツハームレ社のマシン

Cシリーズはすべて「トラニオンタイプ」です

このC50、直径1000mm、高さ810mm 重量2000kgの加工物が載せられる化け物みたいな機械ですから、この蜘蛛もたぶん化け物みたいに大きいのでしょうね!

どの構成がいいのか?

一概には言えませんが、トラニオン型のほうが精度はよいと言われています
斜めに穴を空けるのを想像してみてください。
ヘッドが傾斜しての加工の場合、工具は穴と同じ斜め(最低2軸)方向に動かす必要がありますが
テーブルが傾斜する場合には、テーブルを穴が真下になるように傾斜すれば、
真下に1軸のみであけられます
これは一例ですが、やはり高精度仕様には、トラニオン型が多いです
これに対して、大物・重量物の場合は、テーブルを傾斜させるには限界があります
テーブルはがっちり平らに置いて、ヘッドを傾けたほうが有利です
そんな感じで、大型機には、ヘッド傾斜が多いです。

5軸機の可能性

検索していると、5軸プリンターみつかりましたが
長くなってしまったので、続きは次回にします・・・

最後に、やっぱり5軸機はすごいです
おもしろい、動画が公開されているので、リンクしておきます
お時間あるときにでも、お楽しみください

 

プリミティブ(単純形状)へのサポート方法 Vol4

円柱はどうだろ?

横穴がサポートなしでも大丈夫だったから、たぶん大丈夫じゃないかな

やっぱり、大丈夫でした。
横穴の場合とアンダーになる順序は逆ですが、基本的には同じようなものですね。
ついでなので、手動でモデルにサポートを追加して印刷してみます

こちらも、普通に印刷できました

品質的もほとんど同等です。
横穴と同様に、円柱形状もサポートは不要なようですね

球はどうだろ?

球の場合は、アンダーカットの箇所を断面にみると、横穴や円柱と同等に思いますが
テーブルへの設置面積がまったく違います
図形的には、一点のみでの接触になりますから、多分無理だと思いますが
とりあえず、やってみます

やっぱりグチャグチャになりましたね~

いつものように、サポートも一緒にモデリングして印刷してみます

ちょっと、底の形状が悪いですが、底以外は球っぽくにはなりました。
測定してみました。
横方向は、そこそこの精度で出来ていましたが、
さすがに、Z方向は 0.8mm 程度はコブができていますね~

まぁ、やすりで頑張ればどうにかなるレベルだと思います。

結局穴でも軸でも、サポートなしでいけそう!

丸い形状なら、サポートなしでも、いけそうですね。
ただ、球の場合は、設置面積がない(図形的には、点接触)ので、
テーブルに張り付かず
サポートがないと、プリントできませんでした。
今回は、モデリングでサポートを付け加えましたけど、
次回は PlashPrint の自動サポートでもやってみようと思います。

 

Fusion360が出力した、サンプルNCを個人的に検証してみました

Fusion360 のサンプルNC

前回、工場長濵谷さんから、Fusion360のCAMの説明がありサンプルNCデータが公開されました
http://a360.co/2fagabi
ターゲットとして、素材はスチールでファナック制御の汎用的なマシニングセンターだと仮定して検討してみたいと思います
あくまで、私の個人的な意見としてお考えください

シミュレーション

本当だったら、削りたいですが、そうも行かないのでシミュレーションでみてみます
私は、「TRYCUT2000」というシミュレーションを使用しています
トライカット
結構リーズナブルなソフトです。
確か、年間ライセンス:1万円 永久ライセンス:8万円 ぐらいです

とりあえず、トライカットにNCデータを入力してシミュレーションしてみます

特に問題なく、削れました。

ただし、荒加工のZ方向の取り代が0.5mmのようで、底面が仕上がっていない状態なので、仕上げの側面加工で食い込んだように見えています。
これはたぶん、サンプルなので底面仕上げを省略されただけの事でしょう(笑)
本来の加工であれば、・荒加工・底面仕上げ加工・側面仕上げ加工 の3工程にすると思います

HSM(high-speed-machining)荒加工

HSMは、HSC(high-speed-cutting)とか「Adaptive Clearing」とかとも呼ばれています
私はこの種のパスで削った事はないのですが、数年前から興味があり、情報だけは仕入れていました
実際の加工でも取り入れたかったのですが、会社的にはコストの面もありなかなか実行できていません
情報のみの知識で書き込みます
HSMは上の動画で狭い丸ポケットに入る箇所の加工を見ていただくと分かりやすいですが、トロコイド加工の進化系で、工具の横方向の切込み量が常に一定になる感じのパスです
ただ実際には、横切込み一定ではなく、工具が工作物と接触する角度を一定にするパスです
一般的なポケット加工は輪郭をオフセットしたような経路が広がっていくイメージが普通ですが、この削り方では狭い箇所に入り込む場合ワークに工具が全面に接触する、フル切削になってしまい、工具の負荷が著しく変化してしまいます
この『切削関与角・エンゲージ角』が一定になる事で工具負荷が一定になり加工が安定し工具寿命も延びるといわれているのが、HSMの特徴です
HSMの詳しい情報は、次の機会に紹介したいと思いますが
いずれにしても、このような良質なパスがFusion360で出せるのは、驚きです

では、NCデータを順に眺めてみましょう

Gコードにあまり馴染みがない方もいらっしゃると思いますので
説明もかねて、ちょっと長々と書きますので、興味ないかたは読み飛ばしてください。
こちらからダウンロードしたNCデータを参考にしてください
http://a360.co/2fagabi

(T1 D=10. CR=0. – ZMIN=-6. – FLAT END MILL)

  • 最初にコメント分で、工具径やコーナーR、種類などの情報がありいいですね
  • 特に、最終Z深さがあるのは、いいと思います。
  • 工具長が短くて、干渉した・・なんて事が少なくなります

N20 G28 G91 Z0.

  • とりあえず、Z軸のリファレンス点へ退避です。
  • ほとんどないとは思いますが、リファレンスが最上面より下側にある場合には注意が必要です

N30 T1 M06

  • 工具交換です
  • 最近はあまりないでしょうか?
  • 昔の機械は、TとM6を同じ一行でなくてはいけなかったり、別々でなくてはいけない機械もありました
  • 古い機械の場合には、調べておいたほうがいいです

N60 G43 Z15. H01

  • 工具長補正
  • 具体的にはZ15.に行く間に、H01の情報を元に工具長補正を完成させろ!ですね
  • このHの番号は、範囲以内であれば得に決まっていないのが(ユーザ任せ)トラブルになる場合があります
  • 通常は、T番号とH番号は同じで使う場合が多いと思いますが、会社によって違う場合もありますね
  • 他社のNCデータで加工する場合、この確認は重要です。
  • ハイデンハインの場合には、工具は番号・名前・径・長さなど、工具データテーブルで一括で管理されているので分かりやすいです
  • コントローラは工具交換した時点でこの工具データを参照しすぐに工具長補正を完成させます。工具長補正指令なんて必要ないです。ハイデンハインが使いやすいと感じる一つですね
  • 最近のマキノさんの制御機の工具データ画面は一括管理方式に近くなっています

N75 G01 Z1.05 F1800.

  • さぁ、いよいよ切込みに入っていきます
  • F1800のスピードに指定されています
  • ただ、この切込み動作と切り込んだ後、ポケットを広げていく動作で同じスピードです
  • やはり、無垢の素材に切り込む時とポケットを広げる時では加工負荷が違うので、送りは変更したいですね
  • ここは、Fusion360の機能で送りの変更が可能かどうか、調査が必要です

N80 G03 X1.027 Y4.637 Z0.529 I1.027 J4.638

  • 切込みは、螺旋で切り込んでいます
  • 半径がいくつの螺旋かは、IJの値で計算できます
  • 計算式は√((Iの値)*(Iの値) + (Jの値)*(Jの値))
  • 具体的には R = √((1.027*1.027)+(4.638*4.638)) = 4.75
  • 工具半径がR5.00なので、0.25の重なりですね。もう少し重ねたほうがいいような気もします

上のコードでもう一つ、気になる点があります

  • G03のコードなので、反時計回りの円弧補間ですが
  • X,Y,Z と3軸同時の指令なので、ファナック的にはヘリカル補間になります
  • ヘリカル補間はオプションの場合が多いので、動かない機械が出てきます
  • ちょっと、汎用性に問題があるかもしれません
  • ヘリカル補間での切込み動作の後は、直線補間での指令に変わっているので
  • このヘリカル補間も、すべてG01の直線補間に変更したほうがいいと思います
  • ここも、Fusion360の機能で螺旋切込みを直線補間にできるか?調べたほうがいいですね

N155 G01 X4.753 Y0.3

  • 螺旋切込みの後は、ほぼ直線補間で動いていますが
  • 所々、「G03」の円弧補間指令も出てきますね
  • まぁ、これは特には問題ないと思います

N3975 G00 Z15.

  • ここまでで、荒加工は終了し、一旦、Z15.に退避します

N3995 G43 Z15. H01

  • この指令は、ちょっと気になります
  • すでに、工具長補正が実行中ですが、再度、工具長補正をしようとしています
  • 問題ないかもしれませんが、機種によってはアラームをだしたり、最悪誤動作もあるかもしれません
  • このコードは出さないようにするか、
  • このコードの前に工具長補正キャンセルを行うか、
  • いちばんすっきりするのは、とりあえず荒工程終了という事で工具交換し、
  • 側面仕上工程という事で、再度工具交換からスタートするのがいいと思います
  • 後の行に「G41」の工具径補正がありますから、側面仕上工程が想定されます
  • 実際の加工を考えてみると、工具径補正で仕上げの場合、精度的な管理も必要になります
  • 精度を考えると、一度削った後、測定し、その結果に応じて補正を編集し再加工になります
  • その場合、加工工程は分割していたほうが、便利です

N4015 G18 G02 X12.5 Z-6. I1.

  • これは、面白いコードですね
  • G18のXZ平面指令で、Z方向へR1の円弧補間で進入しています
  • 底面にキズなどつけないための配慮だと思われます
  • 3D加工の場合は、螺旋で切り込んだりしますが、2D輪郭加工で
  • このパスを出すのは、ずいぶん気を使っていますね~
  • ただ、G18を使うか、G01の直線分割がいいのか?意見はわかれるところだと思います

N4115 G18 G03 X11.5 Z-5. K1.

  • これも同様に、XZ平面のR1円弧補間で底面より逃げています

ざっと眺めると、こんなところでしょうか?

Gコードにあまり馴染みがない方もいらっしゃると思い説明もかねて、ちょっと長々と書いてしまいました。

 

ポストプロセッサ

いろいろ、気になる点を書いてしまいましたが、サンプル出力としては十分だと思います
結局同じ機械メーカーで同じファナックでも(・・特にファナックは・・)機種により設定変更が必要な場合がよくあります
また、使う人によって、微妙に操作のさせ方が違う場合もあります
たとえば、工具交換後すぐにクーラントを出す人もいれば、ワークに近づいてから出したい人
スピンドルを回転させてから出す人、回転させる前から出したい人、いろいろだと思います
実際の形状を加工する経路の指令は、CAMの内部計算で決定しますが、補助的な動作を補うのが、ポストプロセッサの役目です

とりあえず、私の経験からいろいろ書いてしまいましたが

おそらくFusion360のCAMでの設定かポストプロセッサの編集で変更は可能なはずです
Fusion360は、ポストプロセッサも、ユーザーが自由に編集できそうですから
勉強すれば、自分好みのパスがだせるようになると思います

今回のサンプルで編集したい点と整理すると

  • 傾斜やヘリカルで切り込む時と通常の送り速度は変更したい
  • ヘリカル補間はオプションの場合もあるので、直線補間など汎用コードに変更可能か?
  • すでに工具長補正モード中の場合、再度工具長補正コードは出してほしくない

このあたりを編集してみたいですが・・・
ポストプロセッサ設定ファイル、ちょっと覗いてみましたが、結構複雑ですねぇ
かなり勉強が必要そうです。(汗;)

[サンプルデータあり] 今話題のFusion 360 CAMについて検証してみた!

CAM業界の常識を覆す価格!

今3D CAD業界を賑わせている「Autodesk Fusion 360」ですが、CAMとCAEも使えて年間36,000円という破格の価格設定になっています。
大事なのは、実務で使えるか?ポストはどの程度準備されているのか?
気になる点を検証してみました。

CAMの機能検証

●特筆すべき機能

HSM(負荷制御)が搭載されていました!ちょっと前までは(今でも?)負荷制御用のツールパスを作るエンジンはオプションで数十万円~百万円単位で費用がかかったように記憶しています。VoluMILL、IiMachining、HSTなどが代表的なところです。
SolidWorksにアドオンが可能な「HSMWORKS」というCAMがありますが、提供している会社が同じAutodesk社のようです。(だからといって36,000円で使えるのは不思議でしかありませんが・・・)

●「負荷制御」が使えることのメリット

・荒取り加工時間の大幅短縮
・負荷一定により工具寿命が延びる
良いことしかありませんねw はっきりと言いますが、普通の数百万円するCAMで負荷制御が無いCAMを使っているのであれば、今すぐに荒取りパスだけでもFusion 360を使った方が、生産効率が上がります!

●仕上げパス評価

走査線、等高線、ペンシル、モーフィングなど、基本的な仕上げ用のコマンドは揃っていました。その他、工具長管理や、工具登録もかなり簡単にできるようになっています。走査線のクオリティなど目を見張るものがあります。

この辺りまで見てきて、「あれ?これはすごいのでは?」と思い始めましたw

●CAMでクラウドを利用するメリット

クラウドとCAMなんて関係無い、と思っていたのですが、ありました!工具ライブラリの管理が非常に簡単です!これまでのCAMでは、工具ライブラリを複数の作業者で共有したり、空いてるPCでNC作ろうとした時には、工具ライブラリの共有化作業が必須でした。
が、解放されました!すばらしい!

●CADとの連動

直接CAMの評価ではないのですが、CAD上でCAMが使えるので便利でした!

<CADデータ変更後の作業を削減>
モデルを編集してたら、CAM画面で「更新」マークが出るので、ツールパスを再計算するだけで変更作業が終わりました。加工者にはありがたい機能ですね。冶具作成などのCAD作業も、SolidWorksと比較して遜色なく行うことができました。

<STLモデルデータへツールパス作成>
メッシュデータを読み込んでそのままツールパス作成ができました!最近はスキャンデータの活用が求められていますので、非常にありがたい機能です。
加工途中の形状をSTL形式で保存も可能なので、途中形状を他のCAMに渡したりすることもできました。

●コマンド・価格

Standard版:36,000円/年間
ドリル、2D、3D、旋盤までのコマンドが利用可能でした。

Ultimate版:178,000円/年間
同時4軸加工(円筒ラッピング機能)、複合軸(スワーフ・複合軸輪郭)、割出しの固定5軸加工、などの機能が追加で利用できます。

ポストプロセッサーの検証

●雛型ポスト

かなりの数の機械メーカーのポストプロセッサーが標準装備されています。
Fanuc、HAAS、Mazak、Heidenhain、Siemens、Shopbot、Roland、などなど。基本的にマシニング加工用のポストとターニング(複合旋盤)用のポストがそれぞれ用意されていました。

●オンライン ポストライブラリ

上記以外のポストもダウンロード可能です。英語版のサイトですが、検索すればすぐに見つかります。例えば、Brother と検索すれば出てくる感じです。オリジナルマインドさんのKitmillシリーズのポストもこちらからダウンロードできるようです。すごいですね。
http://cam.autodesk.com/posts/

基本的にプログラムはC++で書かれているので、わかる方は編集してオリジナルにしてしまえばかなり使い勝手が良いです。
ポストを作ってくれるサービスもありますので、作れない方はBIZROADサービスをご利用下さい。
http://bizroad-svc.com/fusion360cam-post/

サンプルNCのダウンロード

FanucポストでサンプルNCを作成してみましたので、ご興味ある方はダウンロードしてお試し下さい。
使用ポスト:fanuc.cps – Generic FANUC
サンプルNCダウンロードリンク:http://a360.co/2fagabi

工程① ポケット荒取り[2D負荷制御]

工程② 輪郭仕上げ[2D輪郭]

3DCAMの利用が広がりそうでワクワクしますね!
それではまた次回!

Fusion360を中心に他の3D-CAD間でデータ変換実験してみた

「CATIA V5」の生データを用意

かなり昔のですが、CATIA V5 のデータがあったので、こいつの変換テストをしてみます
まずは、Fusion360にインポートしてみます
Fusion360へのインポートは、直接とクラウドを経由する場合でインポートできる
ファイルの種類がぜんぜん違います
『CATIA V5』の場合は、クラウドを経由する必要があります。
その詳細やクラウドを使用する場合の方法は、下記のサイトで分かりやすく説明されています
Home3Ddo
AUTODESK FUSION360

『CATIA V5』の生データをインポートし、編集!

早速、クラウド経由で読み込んでみました。
さすがに、オリジナルデータをそのまま公開できませんので、インポートしたデータをFusion360でいろいろ編集してみました



お~
すごいすごい、かなりハードな変更ができました
読み込んだデータがここまで編集できるのは、かなり正確にデータが渡っている事と思われます

こいつを、『ACIS』でエクスポートし会社CADへインポート

次に、Fusion360 で『ACIS(sat)』へエクスポートし会社のCADで読み込んでみます
Space-E/Modeler



問題なく読み込めました
読み込んだだけで、「ボディ」属性になっていますから、ソリッドでの受け渡しができているのがわかります
さらに読み込んだモデルに、フィレット処理をかけてみました



普通にフィレット処理ができました。こちらもデータの受け渡しは正常だと思います
さすがソリッドカーネルです。
ところで、Fusion360のエクスポートに『sat』があって『x_t』がないところをみると、Fusion360のカーネルは『ACIS』みたいですね。
欲を言うと、『x_t』でエクスポートできれば、トランスレータとしては最高なんですけどね
低コストで、『x_t』へ変更する方法は、後で紹介したいと思います

次に『step』

先のSpace-Eは、標準では『step』が読み込めません
なので、もう一つのCAM、OPEN MIND 社の HyperMILL で読み込んでみます
hyperMILL
こちらも問題なく読み込めました





ただ、ソリッド化では、失敗してしまいました



う~ん、これは、出力側、入力側、どちらに問題があるのかわかりませんが
これが、「中間フォーマット」の相性ですかね~
やっぱり、ソリッドカーネルでの受け渡しがいいですね
ただし、HyperMILL は独自カーネルなので、カーネルでの受け渡しは制限があります

じゃぁ、パスは出るのか?

ソリッド化は失敗しましたが、HyperMILLでの仕事はパスを出すことです
HyperMILLのCAD操作は設計的な操作よりも、CAMに便利な操作が充実しています
なので実は、サーフェスでの作業が多いです。
そんなことで、もらったデータでパスが出なくては、お話になりません
ほとんど特別な操作はしないで、簡単な等高線パスを計算してみました



うん、問題なくパスは出力されました
これなら、大丈夫ですね!

再度、Fusion360 へインポート

今度は、Space-E で『ACIS(sat)』を出力し、そのデータをFusion360で読み込んでみました
この操作を整理すると、
「CATIA V5」⇒「Fusion360」⇒「Space-E」⇒「Fusion360」となります
>


読み込んだモデルに、Fusion360でフィレットを追加してみます
問題なく編集できますね。
ここまで、他CADのデータを操作できるのは、すごいですねぇ
独自カーネルのトランスレートは高価なダイレクトトランスレータオプションが必要ですが
Fusion360の標準機能だけで、非常にメジャーな「CATIA V5」のデータがトランスレートできました
すごいです
これで、『parasorid』へのエクスポートがあれば、完璧ですけどね~

『sat』←→『x_t』変換

最後に、面白いCADをご紹介します
IRONCAD
このCAD、デュアルカーネルと言う、2個のソリッドカーネルを搭載しています
したがって、『sat』と『x_t』が相互に変換が可能です
価格もそれほど高くないです、300千ぐかいでしょうかね??

低価格でトランスポート

・Fusion360で独自カーネルをインポート
・Fusion360から『ACIS(sat)』でエクスポート
・IRON CAD で『ACIS(sat)』をインポート
・IRON CAD から『Parasolid (x_t)』でエクスポート

この2個のCADがあれば、ソリッドでの受け渡しがかなりの変換率で実現できると思います