製造現場をはじめ、アパレルやジュエリーなど、クリエイティブな分野でも活用されているCADソフト。CADのスキルを証明できる資格は数多くありますが、具体的にどのような資格があるのか知らない方も多いでしょう。
そこでこの記事では、おすすめのCADの資格を4選ご紹介します。
各資格の受験料や難易度・受験方法など、気になる項目を詳しく解説しているので、CADの資格取得を目指している方はぜひ参考にしてください。
CADの資格とは?
CADの資格とは、CADスキルを明確な基準で評価・認定する制度です。
CADの資格は難易度や専門分野によってさまざまな種類があり、活用する業種、使うCADソフトによっても取得する資格が異なってきます。
CADとは
CADは、コンピューター支援設計(computer-aided design)の頭文字から成る言葉で、その名の通りコンピューターを使った効率的な設計作業を実現するソフトウェアです。
元々設計現場では、設計図面を描き起こすための下書きを、ドラフトと呼ばれる製図板で行っていました。
この設計図の作成工程をすべてパソコン上でデジタル化し、効率化・高度化を図るツールがCADです。
CADの種類
CADは汎用型CADもあれば、用途ごとに特化した専門的なCADもあります。
以下では、CADの種類と主なソフトを一覧表にまとめてみました。
CADの種類 | 主なソフト |
汎用CAD | AutoCAD、SolidWorks |
建築CAD | ArchiCAD、Revit |
機械CAD | CATIA、Solid Edge |
電気CAD | OrCAD、PSpice |
土木CAD | Bentley MicroStation |
3DCAD | Blender、Fusion 360 |
衣料CAD | CLO 3D、Optitex |
CADソフトの代名詞ともいえる圧倒的シェアを誇るのは、やはりAutoCADです。上記の汎用CADに分類されるように、その汎用性と機能性の高さから業界標準CADソフトといわれています。
AutoCADについては以下の記事に詳しく記載しています。ぜひAutoCADの魅力と未知なる可能性を感じてみてください。
CADには、簡易な操作で設計できるSTEAM教育向けに作られたTinkercadもあります。Tinkercadは、ブラウザ上で動作するため、ソフトをダウンロードしなくても誰もが使えます。
以下の記事では、Tinkercad特徴や導入方法、基本の操作について解説しているので、CADソフトの入門編としてぜひご一読ください。
CADの資格を取得するメリット
「CADの資格を取得する意味がある?」と感じる方もいるでしょう。
CADの資格を取得すると、他者から明確な評価を得られるのはもちろん、その他にもさまざまなメリットがあります。
- 専門スキルを明確に示せる
- 体系的な知識を習得できる
- 自己研鑽の機会を得られる
メリット①専門スキルを明確に示せる
CADの資格を取得すると、CADという専門的なスキルを明確に示せるというメリットがあります。
「既に業務で問題なく活用しているので、今さら資格を取る必要がない」という方でも、今後のキャリアプラン構築、または転職などを視野に入れた場合、自分自身の具体的なスキルを的確に相手に伝える手段が必要です。
CADは資格がないと使えないソフトではありませんが、近年AWSやオラクルなど、自社ソフトウェアの操作スキルを認定する資格も増えてきました。
「経験者」というだけでは伝わらないスキルレベルを客観的に証明する重要性は、ものづくりの現場だけではなく、さまざまな分野で広がり始めているのです。
メリット②体系的な知識を習得できる
CADの資格を取得すると、体系的な知識を得られるというメリットもあります。
CADの資格は分野ごとに内容が異なりますが、基本的には対象分野に対する幅広い知識と技能が問われます。案外、普段CADソフトを使っている方でも、基礎を深く理解できていないケースも少なくありません。
しかし、CAD資格取得への学習を通じて、対象分野の設計基準を体系的に理解できます。CAD資格で学んだスキルは、今後の業務の効率化、または新たな分野への挑戦につながる可能性も大きいです。
体系的に学習することは、CAD資格取得への道を最短で開いてくれるため、CAD初心者にとっても魅力的な要素といえるでしょう。
メリット③自己研鑽の機会を得られる
CADの資格を取得することにより、自己研鑽の機会を得られるというメリットがあります。
資格取得という明確なゴールを設定した場合、学習に計画性と継続性が求められ、それらを達成するために意欲と熱意が自然と高まってきます。意欲的に学習することは、義務的な学習と比較してもその学習効果の差は歴然です。
CAD資格取得により、自己の可能性を広げ、努力を結果として示すことによる自己肯定感の向上、さらに新たな挑戦への弾みにもつながります。
モチベーション高く学習を継続することは、おのずと内面的な成長の機会を得られているものなのです。「学習の壁が高いからこそ成長も深まる」と捉え、合否にかかわらずチャレンジし続けてください。
おすすめのCADの資格
それでは、おすすめのCAD資格を紹介しましょう。
受験料や難易度、受験方法を表にまとめているので、比較検討の際にぜひ参考にしてください。
- CAD利用技術者試験
- 建築CAD検定試験
- オートデスク認定資格プログラム
- Vectorworksベーシック認定試験
①CAD利用技術者試験
CAD利用技術者試験は、一般社団法人コンピュータ教育振興協会が主催する民間資格です。
IoTやAIが進化する現代において、ものづくりの現場でのCAD操作はますます高度化しています。
CAD利用技術者試験は、最新の設計技術を習得し、ものづくりの最前線で活躍できる人材育成を目的に設立されました。
CAD利用技術者試験は、2次元CAD、3次元CADの2種類の資格試験があります。
2次元CAD利用技術者試験
こちらは、2次元製図の知識と技法を評価する資格です。試験では、平面図の読み取り力、CADを用いた表現力が問われます。
2次元CAD試験は、基礎から1級まで3段階で構成され、1級は機械、建築、トレースの3つのカテゴリに区分されています。
受験料 |
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難易度 | 易~高 |
受験方法 |
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3次元CAD利用技術者試験
こちらは、3次元空間での設計や製品開発に必要なスキルを証明する資格です。
1級から準1級、2級の三段階で構成され、1級、準1級を受験する場合、2級の資格取得が前提条件となっています。
受験料 |
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難易度 | 中~高 |
受験方法 |
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3次元CAD利用技術者試験2級対策講座|ProSkilll
ProSkilllの3次元CAD利用技術者試験2級対策講座は、わずか8時間で2級合格を目指せます。
合格率83.5%、受講料は27,500円とリーズナブル。学習スタイルは時間や場所を問わず学べるeラーニングです。
カリキュラムは、3次元CADの基礎知識からスタートし、出題範囲の技術的知識や3Dモデリング手法など、実践的スキルを幅広く学習。最終ステップでは、総まとめとして模擬試験を実施し、合格までの道のりをしっかりサポートしてくれます。
②建築CAD検定試験
建築CAD認定試験は、一般社団法人建築CAD連盟が主催する民間資格です。
CADを活用した建築設計の実務能力を証明する資格で、全国の教育機関や建設関連企業で広く採用されており、試験開始から32年、現在までに17万人以上が受験しています。
こちらの資格は准1級から4級までの五段階で構成されており、1級は「時期尚早」という理由から設定されていません。
1級は設定されていない
主催元によると、1級レベルは建築設計技術のみならず、CAD周辺の幅広いスキルを要する人物がふさわしいと考えているとのことです。しかし、現時点ではその評価を見定める環境がないという理由により、准1級を最上級資格としています。
なお、4級は高校の団体受験者のみを対象としているため、一般の方は受験できません。
受験料(一般) |
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難易度 | 易~高 |
受験方法 | 実技 |
③オートデスク認定資格プログラム
オートデスク認定資格プログラムは、AutoCADで有名なアメリカのAutoDesk社のCADスキル認定資格です。資格取得者は20万人を突破、世界各国のAutoDeskユーザーのキャリアアップに貢献しています。
資格取得の対象CADソフトは、AutoCAD、Autodesk Revit Architecture、Autodesk Fusion(旧:Fusion360)の3種。基本的な操作を問う資格なので、AutoDeskソフト初心者、設計関係の学生向けです。
この資格は一般受験を実施しておらず、学生の団体受験のみ受け付けています。詳しくは、オートデスク認定試験事務局までお問い合わせください。
受験料 | 要問合せ |
難易度 | 易 |
受験方法 | 多岐選択式、実技 |
オートデスク認定資格プログラム合格に向けた学習方法はいくつかありますが、最もおすすめしたいのは短期で集中的に学べるセミナーです。
Autodesk Fusionセミナー|ProSkilll
AutoDesk Fusionセミナーは、AutoDesk Fusion(旧:Fusion 360)の操作スキルを学べる講座です。
「コスパ重視の方が選ぶCADセミナー」で第1位を獲得し、受講者満足度は99.6%を突破。セミナーでは、基本設定や基本操作から段階的にステップアップし、クラウドデータの管理やサーフェスモデリング、回転体のモデリング、アセンブリ設計まで幅広く学びます。
実際に手を動かしながら学ぶハンズオンスタイルなので、五感を使って体系的にスキルを習得できます。
受講期間 | 2日 |
受講形式 |
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受講料金 |
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AutoCAD基礎セミナー講習|ProSkilll
AutoCAD基礎セミナー講習は、業界標準CADソフト・AutoCADの操作スキルを2日で習得できるセミナーです。実践的な課題を元に学習を進めるため、習得したスキルは即実際の現場で活用できます。
カリキュラムは、AutoCADの初期設定、画面構成などの初歩からスタートし、オブジェクトの操作や注釈の付け方、レイアウトの使い方、データ管理など幅広くカバーしています。
受講期間 | 2日 |
受講形式 |
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受講料金 |
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また、より高度なスキルを習得しCADエンジニアとしての付加価値を高めるなら、近年注目されているAutoCAD自動化のスキルを習得するのもおすすめです。以下のセミナーでは2日間で実践的な課題を通し、スクリプトを用いた方法と、LISP(プログラミング言語)を用いた自動化について実務レベルまで習得可能。気になる方は併せてご覧ください。
④Vectorworksベーシック認定試験
Vectorworksベーシック認定試験は、CADソフト・Vectorworksの基本操作スキルを証明する資格です。試験では、ソフトウェアの基本機能、作図環境、ワークシートの活用、フォトリアルなレンダリングの基礎的な知識が問われます。
この資格は、インターネットを介したIBT形式で実施されるため、自宅のパソコンからでも受験可能です。
試験終了後はその場で合否が分かり、合格者にはPDF形式の認定証が発行され、90%以上の高得点での合格者に対しては「アドバンス認定」カードが後日郵送されてきます。1ヶ月間の受験期間中に3回まで受験できるため、不合格の場合でも即再チャレンジできます。
受験料 |
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難易度 | 易 |
受験方法 | 多岐選択方式or正誤方式 |
CADの資格についてまとめ
CADの資格はいくつかありますが、目的や対象CADソフトによって学習内容が異なっています。
「CAD利用技術者試験」のような資格であればCADの操作を網羅的に学習できますが、効率性という観点からみると特定のCADソフトに絞った資格もおすすめです。
資格を取得するためには、やはり学習効果の高い方法を選ぶことが重要です。
以下の短期型セミナーを利用すると、効率的かつ効果的な受験勉強を実現できます。
- AutoCADのスキルを習得したい方はこちら→AutoCAD基礎セミナー講習
- AutoDesk Fusionを使いたい方はこちら→AutoDesk Fusionセミナー
- 3次元CAD利用技術者試験2級の取得を目指している方はこちら→3次元CAD利用技術者試験2級対策講座
上記からお好みのセミナーを選んで、この機会に最短距離でCAD資格取得を目指しましょう。