5軸プリンター Vol2

5軸普及の立役者「工具先端点制御」

前回紹介した動画すごいですよね~、グリグリ動いて・・・
機械を制御するためのプログラムは、どうやって作っているのでしょう?
かなり、難しいそうです
一番重要なのは、回転(傾斜)軸の中心の位置(座標)です
まず5軸に限らず、3軸でも、たぶん3Dプリンターでも・・
工作機械の制御機は、基本的に機械固有の原点位置(機械原点)を
把握しています
加工物の段取りでは、機械原点と加工物原点(プログラム原点)の
位置関係を設定します
たとえば工具を加工原点に持っていって、設定ボタンを押したりすると思います
制御機は、この機械原点と加工物原点(プログラム原点)の位置関係を考慮し
プログラムの指令点を機械原点からの位置に算出して工具を移動させ
加工していきます
ここで、軸を傾斜させた場合は加工物も傾斜してしまうので、切削点は変わってしまいます
傾斜指令を追加しただけでは、思ったように加工できません。
傾斜終了後の切削ポイントへ同時に工具を移動させなければいけません。
難しそうですが機械原点からの回転(傾斜)軸中心の座標が分かれば、
加工物が傾いても切削点を算出できますから、正常な位置指令ができます
昔は、一旦機械に加工物をセッティングしたのち、加工物中心と傾斜軸中心の距離を測定しその測定値を基に、モデル自体を傾斜させ、NCプログラムを出力していました
ようは、実際の機械と加工物の状態をCAD上でも再現していました。
かなり、面倒な作業ですね~
ところが、制御機が進化しました
この傾斜軸の中心軸座標を、制御機に設定しておくことで、プログラムの指令点を
制御機が自動的に変更してくれるようになりました
これが、工具先端点制御機能です
分かりやすい事例として、むか~し撮った動画がありましたの紹介します。

 

これは、通常動作中にでも、手動割り込みが可能になるハイデンハインの機能です
途中で傾斜軸が動き出しますが、これは「手パ」(手動パルスハンドル)で操作しています
このように、「手パ」で操作しても、工具は追従していきます
すごい機能です、重複しますが機械が自動運転している最中に、
ただ傾斜軸をハンドルで動かしているだけです
工具は勝手に、加工物に吸い付くように追従してくれます。
当時この手動割り込み機能は、ファナックにはありませんでした。

(余談ですが、英語では、[Tool Center Point Control]工具中心点制御です。)
(私はこのほうが、しっくりきますが、なぜ先端点なのか??です)
この機能のお陰で、CAMソフト開発側も含めて、5軸のNCプログラム作成が、
非常に楽になり動画のような、グリグリ動かすプログラムも
比較的簡単になりました

5軸、3Dプリンター

さて、5軸工作機械の話が長くなってしまいました、
3Dプリンターの話題に戻りたいと思います
そういえば、5軸3D・・っておかしい感じがしますね。
5Dプリンターのほうが、しっくりくるかな?
5軸加工機のように、いろんな方向から、プリントできれば、
アンダー部やサポート材など考えなくてすみます。
さらに、等高線に積み上げていく現状では、平坦な形状ではどうしても
積層の幅が広くなりプリント面がガタガタになってしまいます
そういった欠点が解消されると思います
もちろん、プリンタヘッドが形状に干渉してしまう事も考えられますが
それは、5軸加工機でも同様です
5軸機では干渉しないような、微少工具や長い工具を使用します
場合によっては、干渉しないように、モデルにフィレットを施す事もあります
プリンタヘッドもいろいろな形状が用意できれば解決できると思います
さらに、現状ある製品に、追加のプリントも可能になりますね
金属に樹脂を追加する事もできるでしょうし、追加プリントの組合せで
組み立てまで自動化できるかもしれません

なんか、いい事ばっかりですよん!
きっと何処かで開発しているはずですよね~

5Dプリンター

このキーワードで検索してみると、おっ!出来てた!
でも、キムタクのTVドラマの「安堂ロイド」に出てきた話らしい
私はこのTV見ていないので、よく分かりませんが、5軸と言うよりも
五次元の意味の、5Dのようですね
ただ、そう言う意味での4Dプリンターは、米軍が研究しているとの記事もありました
そうか「3Dプリンター」の3Dは三次元の意味だったんですかね?
私はてっきり、3軸の機械だから、3Dだと思っていました
そっか、3DCADは、三次元CADか・・・

検索を進めると!あっ、見つけた!

そうそう、こんなイメージです

さらに、検索してみると・・・
中小企業庁のものづくり支援で、研究報告が公開されていました。

中小企業庁:研究開発成果等報告書

ここの上から6項目目
「同時5軸制御Additive Manufacturing(加法的製造)によるLight Weight Structure(計量構造)の実現」
に、資料が公開されていました。

さらにさらに、調べると
もうすでに、製品として、紹介されていました

3Dプリンター

お~、国産だし、これはすごいですね~
何処かの展示会に出展されないでしょうか?見てみたいです
開発メンバーのC&Gコイズミ氏とは、顔見知りではあるので、
なにかの機会に聞いてみたいと思います
で探していたら、やっぱり出展されてたみたいです。
http://www.oi-s.com/business/enomoto20170214.html

それにしても、調べると結構動画が出てきます。
実用化には、まだまだな感じですが、5軸加工機がそうだったように
これからが楽しみですね。
動画をみると、ほとんどが同時5軸で動作しています
そうなるとやはり、ソフト・ハード共にコストは上がってきますね。
サポート材の実験でも、多少のアンダー部は大丈夫だったので
割り出し5軸(回転した後、固定で3軸動作)でもいけるようにも思いますが
エンドミルは刃があれば、形状全体で加工できますが、3Dプリンターは
ノズルからの一箇所なので、同時5軸になってしまうのでしょうか?

5軸プリンター

5軸

3Dプリンターで、サポート材やプリント方向などで、いろいろ検討していると
5軸のプリンターってないのかな?と思ってきました
5軸って、3Dプリンタの業界では、まだ馴染みは少ないでしょうか?

ところで、5軸って・・・?

工作機械では、最近国内でもかなりメジャーになってきましたが
3Dプリンター系のサイトでは、あまり見かけませんね
という事で少し5軸加工機について書いてみようと思います・・
一般的な3Dプリンターを眺めると分かると思いますが、直交している動作軸が3本あります。
3本なので、3軸(X軸、Y軸、Z軸)です
この3軸に、2個の回転(傾斜)軸を負荷した構造が5軸となります
ちなみに、工具の回転軸は含めません

5軸加工機・マシニングセンター

私は、2006年頃から数年間、5軸加工機を触っていた経験があります
当時はまだ、国内製はそれほど多く生産されていなかった時期です
特に、5軸機専用として開発されたマシンは、非常に少なかったです
ほとんどが、3軸機のテーブルの上に、回転と傾斜が可能な機器を載せて
5軸機械と呼んでいました
この時期、社内の新規設備の検討をしていたので、
少し話題になって来た事もあり、導入は全く考えていませんでしたが
情報収集目的でドイツの展示会に行きました

いや~、驚きました。
展示されているNC工作機械で、ヨーロッパ製の7、8割は5軸加工機でした
さらに、5軸はすでに珍しくなく、ロボットや自動ワークチェンジャーを付加して
自動無人化を目指したシステムが多く展示されていました
5軸加工機のメリットとして、いろいろな方向から加工できるというメリットがあります
ブロック材など一面を挟んでクランプすると、残りの5面は一気に加工できてしまいます

非常に、自動化がやりやすい機械です
人件費が高く勤務時間が短いドイツでは自動化は必須の戦略だったのではないでしょうか?。
インダストリー4.0も、そんな背景から必然的に生まれた発想のようにも思えます。
そんな展示会を視察して、日本でも5軸化は必ずやってくると思いました
すぐに会社へ提案して導入してもらい、5軸へ取り組んだのがこの時期です
ところが、まもなく、リーマンショックがやってきました
これには、参った!
国内の展示会でも、徐々に5軸加工機は増えてきていましたし
ボーイング787や、三菱重工のMRJなど航空の部品加工でかなり需要は増えるといわれていました
ところが、航空機の開発は遅れるは、リーマンやらで、加工の仕事は伸びてきません。
そんな状況で、操作やデータ作成が難しく高価な5軸機は、手を出しにくい機械となりました
現在は工作機械業界さんは、非常に忙しい状況のようですが、
5軸加工機や自動無人化に関してはこの時期の遅れもあり、まだまだEUとは差がついています

5軸の構造

上でもちょっと書きましたが、X,Y、Z軸の3軸に、2軸を加えたものです
3軸は、直交軸ですが、2軸は通常回転・傾斜軸となります
X軸を中心とした回転は、A軸。
Y軸を中心とした回転は、B軸。
Z軸を中心とした回転は、C軸と定義されます。
そのどれか2軸を追加した構造で5軸となります
傾斜軸の構造も、いろいろあって、ヘッド(スピンドル)に2軸追加された、
「ヘッドヘッド型」
ヘッドに1軸、テーブルに1軸追加された、
「ヘッドテーブル型」などがあります

有名なダイシンさんのヘルメット・・・

ヘッドがチルトするマシンで加工されています。

テーブルに2軸追加された、「テーブルテーブル型」
「トラニオンタイプ」とも呼ばれています

高剛性と精度が売りのドイツハームレ社のマシン

Cシリーズはすべて「トラニオンタイプ」です

このC50、直径1000mm、高さ810mm 重量2000kgの加工物が載せられる化け物みたいな機械ですから、この蜘蛛もたぶん化け物みたいに大きいのでしょうね!

どの構成がいいのか?

一概には言えませんが、トラニオン型のほうが精度はよいと言われています
斜めに穴を空けるのを想像してみてください。
ヘッドが傾斜しての加工の場合、工具は穴と同じ斜め(最低2軸)方向に動かす必要がありますが
テーブルが傾斜する場合には、テーブルを穴が真下になるように傾斜すれば、
真下に1軸のみであけられます
これは一例ですが、やはり高精度仕様には、トラニオン型が多いです
これに対して、大物・重量物の場合は、テーブルを傾斜させるには限界があります
テーブルはがっちり平らに置いて、ヘッドを傾けたほうが有利です
そんな感じで、大型機には、ヘッド傾斜が多いです。

5軸機の可能性

検索していると、5軸プリンターみつかりましたが
長くなってしまったので、続きは次回にします・・・

最後に、やっぱり5軸機はすごいです
おもしろい、動画が公開されているので、リンクしておきます
お時間あるときにでも、お楽しみください

 

プリミティブ(単純形状)へのサポート方法 Vol5

ひさしみたいな、片持ち形状

今までの経験から、横穴や円柱など、閉じた形状の場合は比較的サポートは必要ない感じです。
でも、片方が浮いているような、片持ち形状は無理だろうな~。

っと言うことで片側10mmぐらいの、ひさしの形状でプリントしてみます

まぁ、これはどう考えても、無理でしょうねぇ

閉じた形状なら、Uターンする時に一旦張り付く場所がありますけど、開いた形状は空中ですからね~

まぁ、予想通り!

自動と手動サポート作成

片方はいつもやってるようにモデリング内に手動でサポート含めてみます。

このモデルを、私のプリンター「FlashForge」のスライサー「FlashPrint」へ持って行きます。

「FlashPrint」には、2種類の自動サポート機能が用意されています。
一つは、【枝状サポート】

枝の大きさなどは、設定変更できますがデフォルトでは、こうなりました。

もう一つのサポート方法は、【ライン】です

こんな感じになりましたが、今までの実験で閉じた形状ではサポート不要だったので
少し手動で間引きました。

スライス!!

まずは【枝状サポート】

【枝状サポート】の場合は、基本的には「ラフト」が必要だとメッセージが出ました。

ただ、「ラフト」は剥がし難い経験があって私はあんまり好きじゃないです。
それに、製品に接触する場所は先細りになって設置面積を小さくするような工夫がされていますがそれでも、しっかりくっ付きそうで簡単には取れないような気がします。

【ライン】のほうは、スライサーが自動サポートの部分は、かなり粗くスカスカに
設定してくれるような感じです。
シミュレーションでみても、反対側が透けてみえています。
ただ、間引くように設定しましたが、画像とは同じにはならないようです。

【自動と手動、左右に分けてプリントしてみます】


プリント終了。

【ラインの自動サポート】は、やはり粗く設定してくれていますね。

裏からみると、よくわかりますねぇ
製品に少し張り付くのは、しょうがないですが、サポート部は簡単に取り除けました
これなら、自動でやらせたほうが良さそうです。
それに、間引き処理もいらなそうですね~

左右とも、自動サポートでプリントしてみました。

スライサーが粗くしてくれるのが良くわかります。
取り外しも簡単でした。

上は、左右とも、自動。
下は、半分自動で、半分手動。
いずれも、面は荒れていますが、ほとんど、変わりません。
これなら、特別な場合を除いて【ラインの自動サポート】でいけそうです。

ためしに、球も自動でやってみる

これなら、球でもいけそうです。

実際に、印刷してみました。

ちゃんとテーブルにも張り付いて、プリントできました。
他のソフトウェアではやった事ないので、分かりませんが、「PlashPrint」結構よくできていますね
使い込んでいくと、いろいろ足りない機能もあるかもしれませんが、入門者が使うには、いいソフトだと思います。

今回の実験でわかった事

  • 横穴や四角穴。閉じた形状で30mmぐらいであればサポート不要
  • 円柱を横倒しにした形状もサポートなしでOK
  • 片持ち形状の場合は、サポートは必要だが、自動サポートで対応できる
  • 球体は設置面積が少なく、サポートなしでは、テーブルに貼り付けないが、こちらも自動サポートで対応できる
  • 「FlashPrint」の場合、幾何学的な基本形状の場合、自動サポートを使用する場合【枝】よりも【ライン】のほうが、使いやすい。

こんな感じでしょうか?
雰囲気的に、アンダー部がある形状の場合、サポートの方法で悩んだりしていましたが、ソフトウェアもかなりよく出来ているので、かなり自動でいけそうです。
そうなると、印刷方向も、アンダーをあまり気にしなくてもよくなってかなり自由度が出てきます。
また、いろいろ作る楽しみがでてきました。

プリミティブ(単純形状)へのサポート方法 Vol4

円柱はどうだろ?

横穴がサポートなしでも大丈夫だったから、たぶん大丈夫じゃないかな

やっぱり、大丈夫でした。
横穴の場合とアンダーになる順序は逆ですが、基本的には同じようなものですね。
ついでなので、手動でモデルにサポートを追加して印刷してみます

こちらも、普通に印刷できました

品質的もほとんど同等です。
横穴と同様に、円柱形状もサポートは不要なようですね

球はどうだろ?

球の場合は、アンダーカットの箇所を断面にみると、横穴や円柱と同等に思いますが
テーブルへの設置面積がまったく違います
図形的には、一点のみでの接触になりますから、多分無理だと思いますが
とりあえず、やってみます

やっぱりグチャグチャになりましたね~

いつものように、サポートも一緒にモデリングして印刷してみます

ちょっと、底の形状が悪いですが、底以外は球っぽくにはなりました。
測定してみました。
横方向は、そこそこの精度で出来ていましたが、
さすがに、Z方向は 0.8mm 程度はコブができていますね~

まぁ、やすりで頑張ればどうにかなるレベルだと思います。

結局穴でも軸でも、サポートなしでいけそう!

丸い形状なら、サポートなしでも、いけそうですね。
ただ、球の場合は、設置面積がない(図形的には、点接触)ので、
テーブルに張り付かず
サポートがないと、プリントできませんでした。
今回は、モデリングでサポートを付け加えましたけど、
次回は PlashPrint の自動サポートでもやってみようと思います。

 

プリミティブ(単純形状)へのサポート方法 Vol3

前回まで横穴形状をやってみて、結構サポートなくてもいけそうなのがわかりました。

長方形穴の場合、どれくらいの幅までいけるだろう?

とりあえず、15mm幅

大丈夫そう!
ちょっと、最初はたわんだりしてるけど、大丈夫みたい。

っと思って外してみると・・・あれぇ~上部にコブが!
途中でのフィラメントが出る調子なのかな?
スロー再生で見てみます

確かに、途中でなにか、グニュッて出てきてますね
たぶん、もう一度やっても同じようにはならないと思うし、
機械の性能でも違うと思います。なにせ家庭用ですからね~
コブは、やすりで簡単に除去できるので、ここはOKとします
では、もう少し、横長にしてやってみます

20mm~30mm では? 結構空中で吐き出す事になります

20mm 25mm 30mm 結構長くなりました。
30mmでは、フィラメントが途中で落っこちそうで怖いです

さすがに、30mmぐらいになると、かなりたるんできたけど、極端にはおかしくならないんですね~

ついでなので、40mm・・・・

がんばってるけど、そろそろ限界かな?!
それにしても、これだけ空中で吐き出して、よく重力に逆らっていますね
印刷スピードとか、冷却とか、工夫すればもうすこしよくなるかもしれないですね

それにしても、閉じている穴形状は、円でも四角でも、結構サポート材なくても印刷できそうですね