未来のIT大国「中国」が取り組む人工知能開発とは

過去に比べて大きな経済的な発展をみせている国の一つに、中国を上げる人は多いでしょう。
世界2位で約1,100兆円のGDPがありながら、年7%以上の驚異的経済成長を見せています。
驚異的経済成長の基盤になっているのは、安価で雇った労働力。
「安く多く」を基軸にした工業製品を生産していました。

しかし工業製品中心で戦ってきた今までの中国と違い、近年の中国は少しずつ変化しつつあります。
ドイツにあるIT調査団体が2013年に発表したレポートによると、世界のITに投資している総額は3兆5000億で、そのうち中国が占めている割合は9.5%であることが判明しました。
世界ナンバーワンの約30%を占めるアメリカにはまだまだ及ばないものの、約8%であった日本よりも大きな投資が行われていることが明らかになっています。

いまやIT大国となった中国が注目しているのが「人工知能」です。
中国を代表する「Alibaba」や「Baidu」といった企業も軒並み人工知能開発へと着手し始めています。
中国IT界の「巨人」ともいえる二社は、国内市場から手に入れた圧倒的な資金力を元手に、人工技術開発を加速的で進めているのです。

近い未来に中国が世界を代表するような人口知能を開発して、世界ナンバーワンのIT大国になる将来も不可能ではありません。

進化する中国のAI技術

中国を代表するIT企業「Alibaba」のグループ会社で、人工知能開発に関する研究を行っている「Aliyun」。
同社は新しい人工知能を搭載したサービスを発表しました。
サービス名は「DT PAI」と呼称され、「Amazon」が提供しているサービスのようにビジネス向けにビッグデータを分析・解析するためのサービスとなっています。

「DT PAI」の最大の特徴は、人工知能の技術のひとつである「ディープラーニング技術」を活用して、利用者のクラスタリングや特徴といったビッグデータ解析を、超高速で行えることです。
「Baidu」の発表によると、100ペタバイト近くのデータ量を約6時間で処理することが可能になりました。
操作も簡単で、ドラッグ&ドロップだけの操作で行える点も大きな特徴です。

「DT PAI」を利用することによって、企業側は自らビッグデータ解析のためにインフラを整える必要ありません。
簡単かつ手軽にお客さんの行動予測や分析といった複雑な処理を行うことができるのです。
さらにレコメンド機能や需要を予測するシステムなどを自社のサービスに活かすことが可能になりました。
「Alibaba」は「Aliyu」に対してすでに10億ドル以上の投資を行っており、今後もさらなる進化が実現すると考えられます。

スマート工場が普及すれば、通勤から解放される?

IoT時代が来ればヒトの指示は必ずしも必要ではなくなる

IoT技術を用いてインターネット接続されたスマートファクトリーでは、働く人全員が製造現場にいる必要はなくなると考えられています。

スマートファクトリーの工場内でトラブルなどが発生した場合は、さまざまなセンサーからサイバー・フィジカル・システムを通じてデータとして吸い上げられます。
それらのデータを人工知能が分析し、分析結果をもとに解決策を導きだします。

この分析は、インターネットを通じて現場にいる人と在宅で働く人が共同で行うことができます。
インターネットを通じてリアルタイムで情報を共有したり、TV電話でコミュニケーションがとれるようになれば、働く人が全員が製造現場にいないことは大きな障害ではなくなります。
通勤の負担も減り、むしろ効率的な勤務体制といえます。
一週間のうち、2日は工場、3日は在宅勤務。そんなフレックス勤務が普通になっているかもしれません。

それでは、在宅勤務の時、空いた時間は、どうするのでしょうか?

それは、新しい技術を習得するトレーニング、社内教育にあてられるのではないでしょうか。
インダストリー4.0は、これまでのものづくり技術とIT技術、データ分析の知識の融合です。ITやデータ分析の経験が不足している場合、この領域を自宅でのEラーニングなどでマスターすることにより、仕事の変化に追いつくことが大事になってくると予想されます。

熟練工の定年を延ばせる

通勤から解放されて在宅勤務が増えると、もう一ついいことがあります。
勤務と通勤を合わせた仕事のための時間が短くなれば、労働の負担が減ります。
そうなれば、体力的な不安を抱える年代の人、たとえば、ものづくりの経験が豊かな熟練工の定年を延ばすことも容易になるでしょう。

ドイツのインダストリー4.0プロジェクトでは、働き方が変わる社会をどうリードしていくのかが議論されています。
会社の勤務ルールや、人事制度まで変えていく必要があると考えているのです。

中小企業版インダストリー4.0「東京町工場ものづくりのワプロジェクト」

中小企業では1社でIoTへの取り組みを行うことは非常にハードルが高いといわれています。

そこで、似たような業種の中小企業数社で、同じ目的に向かってIoTを実現しようとしている例として「東京町工場ものづくりのワプロジェクト」があります。

このプロジェクトは今野製作所、エー・アイー・エス、西川精機製作所という3社で立ち上げられ、板金業という同業種とは言うものの、異分野の製品を扱っていた各社がそれぞれの強みを生かし、恊働という形で進んでいくという中で、ITを活用した「中小企業版インダストリー4.0」を目指すというものです。

効果的なITの活用で、さまざまな情報をタイムリーに共有できる仕組みづくりとそれを活用した各社の業務の効率化を図ることが可能となり、それぞれの会社を成長させる枠組みとして期待されています。

また、IoTとは直接関係ないのですが、人材の交流や、技術の共有といった側面も出てきます。
当然のことながら、各社では今までに培った、それぞれの独自な業務プロセスがあることから、生産管理システムなどを統一するための見直しなどを行い、さらに導入後もさらなる改善を続けていくことでより一層の効果を出していこうとしているようです。

製造業における人工知能の活用事例 – キャノン

日本のデジタルカメラメーカーとして、世界でも多くのシェアを持つキヤノンですが、デジタルカメラ製造の完全自動化を目指し、大分県にある子会社工場内にAIを使ったロボットを用いた生産技術を開発する拠点を設け、そこで製造したロボットを順次製造ラインに投入していき、全体の20%のコスト減を見込んでいます。

ロボットによる単なる大量生産ということではなく、熟練工の技術をAIを使用してロボットに覚えさせ、技術の継承についても実現しようとしています。

また、併わせて、本社の設計部門との連携により、自動生産しやすい製品設計も推進することで、さらなる効率化を図ろうとしています。

一時期生産を海外に移すなどの流れもありましたが、完全自動化することで、人的コストも抑えることができ、高性能、高品質の製品を継続して国内で生産していくことが可能となっていく予定で、超少子高齢化時代となっていくことが予想される国内産業の下支えとなっていくものと思われます。